スズメバチ」カテゴリーアーカイブ

赤い屋根の粘着捕獲器を製作

スズメバチ対策に粘着ネズミ捕りシートを使っていて、2点改善したいことがありました。1つは、ネズミ捕りシートに耐水性はあるものの、それでも濡らしたくないことと、2つ目は、捕らえられたスズメバチがもがく間にシートからはみ出して、シートを置いている台などに粘着剤が付くのを防ぐこと(捕らえられたスズメバチが、もがく間にシートからはみ出すことがあるため)です。
そこで、ネズミ捕りシートを収納する次のような容器を作りました。材質はアクリルです。

茶色の部分が粘着ネズミ捕りシート

8月28日、赤い屋根の巣箱の横に設置しました。

8月28日17時4分撮影
お捕り用にスズメバチを2匹シートに着けた

次の日の朝方、スズメバチを捕らえることができていませんでしたので、網でスズメバチを捕らえるなどして、徐々にお捕りを増やして、夕刻までにお捕りを8匹にしました。

この8匹はお捕り用 8月29日16時53分撮影

更に次の日(8月30日)の夕刻になって、やっと1匹ですが、スズメバチを捕獲することができました。

9匹になっている 奥中央のオオスズメバチがこの粘着シートで捕まった 8月30日17時20分撮影

9月2日、降雨後、この捕獲器を見に行くと、粘着シートの上に水滴があったものの、粘着シートの厚紙の部分に水が染み込んではいませんでした。

降雨後だが、シートは濡れてはいない ちなみに10匹になっている 9月2日10時44分撮影

粘着剤が容器の外に着かない構造にしていますから、その点を含めてこの粘着捕獲器は、十分に機能することが分かりました。
この捕獲器を「赤い屋根の粘着捕獲器」と呼ぶことにします。

赤い屋根の巣箱

「セイヨウミツバチの自然養蜂」用に「赤い屋根の巣箱」を作りました。

巣門側
側面(左)と裏面(右)
底箱
巣門にはスライド式のアクリル製(白)の開閉板が組み込まれている 夏は全開、冬は少しだけ巣門を開ける
巣門内側にはアクリル板が取り付けられている スズメバチが巣門を齧って拡張しても、アクリル板で阻まれる
本体の中 巣落ちを防ぐように4本の棒がある
本体の上に巣板用のすのこを載せる
このすのこの上にⅡ型280mL大気圧蜜器や固形餌を載せることができる
分蜂群を入居させた時や冬場はすのこの上に板を載せて、蓋裏に造巣することや寒さを防ぐ
本体側面にはM6規格の鬼目ナットを取り付けている M6規格のアイボルト等をねじ込むことができる ロープを掛ければ、巣箱の転倒を防ぐことができる
同じく本体側面にはM4規格の2個の鬼目ナットが埋込まれている 間隔は8cmで穴開けパンチの間隔だ 識別や名称・履歴などの書類を防水仕様にしてユリヤねじで取り付ける

また、本体側面には、角材が4箇所取り付けられています。上の角材は主に本体を移動させる際に持つためのものです。下の角材は主に側面の板材が曲がるのを防ぐためのものです。

蓋には換気口がある 冬場はこのように閉める
猛暑になれば換気口を開ける
スライド板を固定するための鬼目ナット ユリヤねじをねじ込む
蓋の裏 ユリヤねじを使わない時は、こんな風に蓋の裏から鬼目ナットにねじ込んで紛失を防ぐことができる
スライド板をユリヤねじで固定していない状態 蓋の裏からねじ込んだユリヤねじの末端が鬼目ナットから見える
本体の上には採蜜箱を載せることができる
巣枠は上方のみ M4規格の鬼目ナットと皿ねじで2本の巣枠を締めて巣礎を固定する
屋根の裏の様子 ずれ止めを施している

ところで、この「赤い屋根の巣箱」には、本体と採蜜箱の裏面に観察用の窓があります。観察をする時に白色のアクリル板を外します。

本体裏面の観察窓
採蜜箱裏面の観察窓
観察窓を開けたところ

この観察窓はペアガラス(ただしアクリル板)になっています。熱の出入りを防ぐ効果があると考えています。

観察窓のペアガラス

さて、この巣箱は、底箱・本体・採蜜箱・蓋・屋根から構成されていますが、その内本体と採蜜箱と蓋の被せには、「相欠きつぎ」相当の工法を用いています。

本体と蓋の合わせ部分 1枚の板をトリマーで削っている

真っすぐ上から被せるとしっかりとはまります。この工法により、外側から当て板を使って固定したり、ビスで固定しなくても良くなり、また持ち上げるだけで分離できるようになります。
底箱と本体の合わせ部分は、敢えて加工はしていません。底箱の上に本体を重ねる際は、まず少しずらして重ね、本体を滑るように動かして底箱に重ねます。こうすることで、蜂を挟み込むことが少なくなります。

スズメバチ捕獲器もこの「赤い屋根の巣箱」用に作りました。捕捉空間を2段にしています。

捕捉空間の前面はアクリル板を使っています。捕捉空間の前面が金網の場合、捕捉空間にいるスズメバチに向かってミツバチが戦いに行くことがあり、ミツバチが多数殺されることがあります。そこで、アクリル板で上下を遮断しました。
このアクリル板には、高さ6mm幅10cmの切り欠きがあり、オオスズメバチは通れませんがミツバチは雄バチも含めて通れます。アクリル板は、上方へ引くと取り外せます。スズメバチを取り出すのが容易です。

アクリル板を半分持ち上げたところ アクリル板の両側と下の板には溝が掘られている

「赤い屋根の巣箱」は、様々な機能を備えていますが、実際にそれらの有効性が検証できるよう、また、巣箱自体の耐久性と言う点でも検証できるよう、ミツバチが新居を必要とする季節が来るのを待ち遠しく思います。

たくさんのミツバチが殺される

9月9日のブログ「改良スズメバチ捕獲器を検証」では、スズメバチ捕獲器の捕獲スペースを1段から2段に改良したことで、「昨年までよく起きていたのですが、1段目でスズメバチにたくさんのミツバチが殺されると言うこともありませんでした」と書いたのですが、9月18日、その恐れていたことが起きてしまいました。2時間弱外出して帰宅すると、5群に設置しているスズメバチ捕獲器の1段目の中で、オオスズメバチとミツバチが戦っていました。既にたくさんのミツバチが殺されているようです。

9月18日16時21分撮影

捕獲器を外して、死んだミツバチを取り出しました。

殺されたミツバチ

殺されたミツバチの数を数えてみると、102匹でした。
スズメバチ捕獲器の捕獲スペースを1段から2段にしていても、安心できないことが分かりました。ただ、2段にしていることで、このような事態が起きるリスクが少なくなっているとは思うのですが。
ところで、2段に改良したスズメバチ捕獲器は5群の他にも、2群・4群・6群に設置しているのですが、5群は他の群とは違って、巣門の周りにより多くの働きバチが待機しています。また、過去にコガタスズメバチを倒しています。5群が、積極的に戦いに挑む態勢でいることが、今回の事態を招いたのかも知れません。

改良スズメバチ捕獲器を検証

8月29日に改良スズメバチ捕獲器を設置(市販の捕獲スペース1段式を2段に改良)しましたが、11日経った今日9月9日、その結果を見ることにしました。
既に9月6日からはオオスズメバチが飛来しなくなっており、コガタスズメバチの飛来も少なくなってきました。ですから、今日結果を見ることにしたのは、これ以上、捕獲器の有効性を検証する機会を延ばしても、検証の結果は変わらないように思えたからです。

2群に設置の場合:

2段目に4匹入っている
1段目には1匹入っている
2段目の4匹 いずれもオオスズメバチだ
1段目の1匹 こちらもオオスズメバチだ

4群に設置の場合:

2段目の様子
同じく2段目の様子 1段目には死体はなかった
2段目には合せて4匹の死体があった 右からオオスズメバチ、未同定(クマバチ?)、セイヨウミツバチの雄2匹

5群に設置の場合:

2段目に7匹入っている
1段目の様子
同じく1段目の様子
2段目の7匹 6匹がオオスズメバチ、キイロスズメバチが1匹
1段目の2匹 右がキイロスズメバチ、左がオオスズメバチ

6群に設置の場合:

2段目に2匹入っている
これは1段目ではなくその下 なぜここで死んでいるのか不明
2段目の2匹 右がキイロスズメバチ、左がオオスズメバチ
1段目の1匹 オオスズメバチだ

これらの様子から、改良して取り付けた2段目により多くのスズメバチが入ったことが分かります。このことから、1段目から2段目に繋がる通路の構造が適切であったと言えます。また、昨年までよく起きていたのですが、1段目でスズメバチにたくさんのミツバチが殺されると言うこともありませんでした。
この改良スズメバチ捕獲器は有効なようです。

ちなみに、市販の捕獲スペース2段式の捕獲器も機能していました。

22群に取り付けた市販の2段式スズメバチ捕獲器
2段目にオオスズメバチが1匹だけ入っていた

2種のスズメバチを捕獲

9月4日に引き続き、キイロスズメバチを捕獲しました。また、初めてヒメスズメバチを捕獲しました。いずれもミツバチを狩りに来ていました。

キイロスズメバチ 9月4日10時45分撮影
キイロスズメバチ 9月7日15時52分撮影
ヒメスズメバチ 9月7日16時1分撮影

ヒメスズメバチは、スズメバチ巣駆除器の中で、毒蜜を少し飲んだようです。後に放ちました。

毒蜜を飲んでいるようだ 16時33分撮影

フィプロニルの遅効性とは その時間は? その2

午前中の実験に引き続き、フィプロニルの遅効性について実験をしました。
1例目:

オオスズメバチ2匹が毒蜜を飲む 9月5日16時18分撮影
別容器に移した 16時28分撮影
押さえ板を押し上げて逃げたのだろう1匹になっていた 17時10分撮影

2例目:(1例目より小柄)
もう1匹、実験対象にしました。こちらもオオスズメバチです。

毒蜜を飲んでいるところ 18時1分撮影
スズメバチ巣駆除器の中に留めた 18時8分撮影

2例目は、19時44分時点で既に排泄をしていました。1例目は19時52分に排泄をしました。

2例目の排泄 19時44分撮影
左が1例目、右が2例目のオオスズメバチ 19時52分撮影

この時点で、2例共にフィプロニルの効果が現れているようです。更に20分後には、自由に歩けなくなっていました。

20時12分撮影

1例目は16時20分頃、2例目は18時ごろに毒蜜を飲んでいますから、服毒には1時間40分ほどの時間差があるわけですが、症状はほぼ同じ頃に現れたことになります。
薬効が現れるまでの時間は、1例目ではほぼ3時間30分、2例目は1時間45分となります。午前中に行ったコガタスズメバチの場合は、2時間強でしたので、薬効が現れるまでの時間は様々であることが分かります。
何れにせよ、2時間程度は薬効が現れないのなら、その間に、帰巣したスズメバチから仲間に毒剤が広がるのでしょう。
この後、22時ごろまで観察を続けましたが生きていました。翌日になって、死んでいるのを確認しました。

右が1例目、左が2例目のオオスズメバチ 9月6日撮影

フィプロニルの遅効性とは その時間は?

スズメバチ巣駆除器で使う駆除剤には、フィプロニルが含まれているのですが、その特性として遅効性があります。では、この遅効性とはスズメバチの場合、どの程度の時間なのでしょうか。ここで使う駆除剤は、「アース ハチの巣コロリ スズメバチ用駆除エサ剤」です。
9月5日、コガタスズメバチを1匹捕らえて、巣駆除器の中に入れました。

毒蜜を吸い始めた 9月5日9時51分撮影
別の容器に移し入れた 9時54分撮影

12時頃まで時々観察していましたが、特に異常な動きはありませんでした。12時から食事をとっていたのですが、12時38分に見ると、その場で動かなくなっていました。ただ、死んでいたわけではなく、脚がピクピク動いていましたし、刺針を出入りさせていました。全く動かなくなったのは、それから数分後でした。

まだ死んではいなかったが動けなくなっていた 12時38分撮影
完全に動かなくなった 12時40分撮影

このコガタスズメバチは、9時50分ごろに毒蜜を飲み始め、12時40分ごろに死にました。その間は、2時間50分になりますが、12時頃までは異常ではなかったとすると、だいたい2時間強で薬効が現れたのでしょう。
遅効性の要素としては、摂取した量に因る他、変温動物ですので気温にも因るでしょうし、その間の活動量にも因ると思いますので、このようなだいたいの時間でよいでしょう。