習性」カテゴリーアーカイブ

庭内で巣箱を移動 場所記憶の検証

ミツバチの飼育群数が6群まで減りましたので、その内2群の設置場所を変えて、ミツバチと庭の両方の管理がしやすいようにすることにしました。
巣箱を設置する場所を変えるのは54群と50群です。
54群は、今年の5月10日、庭の西方の空き巣箱置き場に置いてあった巣箱に自然入居した群です。比較的、活発に活動しています。正門から玄関に繋がる通路の直ぐ横の場所でしたので、巣箱を移動したい群でした。
50群は、5月2日に捕獲した分蜂群で、芝地に設置していました。芝地以外の場所に移動すれば、芝刈りがし易くなります。今では活動量が少し劣っている群です。
オオスズメバチがほぼ飛来しなくなるのを待って、12月10日、2km以上離れた親戚の庭に置かせてもらいました。それからほぼ2週間後の12月23日、自宅の庭に戻しました。
移転の期間が短いのですが、元の巣箱の場所をどの程度覚えているのか、興味深いところでした。
翌日の12月24日、54群の元の場所(庭の西方の空き巣箱置き場)にたくさんのミツバチがやって来ていました。

写真中央の場所に元54群の巣箱があった その左右の空の巣箱にもミツバチがやって来ている 12月24日12時30分撮影
右の巣箱に多数のミツバチが出入りしていた 12時34分撮影

同じような現象は、9月13日のブログ「巣門の位置認識」で見ています。

同じ時刻頃の54群の巣箱の様子

夕刻になると、54群の元の場所にやって来るミツバチはいなくなっていましたが、多数のミツバチが寒さで動けなくなってその近辺の地面でじっとしていました。フィルムケースに入れて集めてみると、フィルムケースの8割を占めるぐらいの匹数でした。これらは、54群の巣箱の上蓋を開けて巣箱の中に入れました。
12月25日、54群の元の場所では、午前中は比較的多くのミツバチが来ていましたが、午後3時頃にはほとんど来なくなっていました。

12月25日9時56分撮影
15時5分撮影

この日は、午前中から屋外で蜜巣の蜜を与えていて、そちらの方にもミツバチがやって来ていましたが、そのミツバチは54群が主だったようです。そのことが何らかの影響を与えたのかも知れません。

蜜を求めてやってきていたのは、ほとんどが54群のようだった 9時56分撮影

この日、54群の元の場所の近辺で動けなくなっていたミツバチは極く僅かでした。

低温で動けなくなっているミツバチ 15時2分撮影

他方、50群はこの日(12月25日)になって元の巣箱の場所にやって来るようになりました。

元50群を置いていた場所 12月25日11時54分撮影
巣箱から出て来た働きバチたち 54群と比べると匹数はかなり少ない 11時54分撮影

15時過ぎに元50群を置いていた場所を見ると、動けなくなっているミツバチが3匹いました。この3匹は50群の巣箱の中に戻しました。

元50群を置いていた場所近くで動けなくなっていたミツバチ 15時7分撮影

12月26日になると、54群は、午前中ももうほとんど元の巣箱の場所に行かなくなっていました。そして、12月28日には、元の巣箱の場所へは、既に全く行かなくなっていました。

12月26日11時28分撮影
12月28日10時27分撮影

巣門の位置認識

9月13日、54群に赤い屋根の巣箱用に製作した試作品のスズメバチ捕獲器を取り付けました。すると、直ぐ隣りの今は使われていない重箱式巣箱の巣門(54群と巣門の環境が類似している)を、戻ってきたミツバチが出入りしだしました。54群の巣箱にも近づくのですが、巣箱には入って行かないようです。

重箱式巣箱(右側)の巣門を出入りする戻ってきたミツバチ 9月13日8時33分撮影
重箱式巣箱の様子 8時35分撮影

そこで、スズメバチ捕獲器を取り外しました。すると54群の巣箱に戻って行きました。

8時37分撮影

このミツバチの行動から、ミツバチが巣箱、限定的に言えば巣門の位置をどのようにして覚えているかが分かります。三次元の空間的な位置のみでなく、巣門の環境を画像として覚えていて、(眼で見た)巣門の環境の方を優先していることになります。

蜜器台を使う

2月24日にⅢ型500mL大気圧蜜器を試用しましたが、今日は、昨日作成した設置台の上にその蜜器を置いて給餌しました。

設置台の上面はアクリル板です。これは繰り返し水で洗えるようにするためです。下の写真を見るとわかるのですが、アクリル板に汚れが付いています。この汚れは、蜜そのものです。蜜を吸引する際に肢や翅に蜜が付き、その蜜がアクリル板に付くのです。

このため、繰り返し洗えるようアクリル板を使いました。このアクリル板は、上面に固定しているのではなく、ただ被せているだけですから、簡単に取り外せます。
アクリル板は、寒い季節は黒色を、暑くなると白色を使います。特に黒色のアクリル板を使うのは、保温のためです。寒い季節では、蜜が翅について飛べなくなって蜜場に留まっていると、その内に体温が下がり、全く飛べなくなります。そして冷死してしまいます。黒色のアクリル板を使うのは、そのリスクを軽減するためです。

ところで、話は変わるのですが、こんな風景を見ました。

この場所は、昨日まで蜜器で給餌をしていた場所です。ただし、蜜器の下に敷いていた板は外して、この巣箱の本来の天板に変えています。ですから、この天板には蜜の汚れはないのですが、それでもミツバチが集まってきていました。今日の給餌場所はその近くです。

奥の巣箱の上が、昨日まで給餌していた場所

このことから、ミツバチは蜜を見つけて仲間を呼んだわけではなく、昨日までの蜜の場所を覚えていたことになります。自然界の花の場所も一晩置いても覚えているのでしょう。

蜜器台の設計図 Ⅲ型500mL大気圧蜜器が3個まで置ける

2021年 オオスズメバチの飛来がなくなるのはいつ?

昨年は12月8日まで自宅の庭でオオスズメバチを捕獲しています。ネズミ捕りによる捕獲で、それ以降、庭にオオスズメバチが飛来しなかったとは言い切れませんが、岡山市の自宅周辺では、12月の上旬で飛来する季節が終わったと考えました。
では、今年はどうなのでしょうか。11月27日、ネズミ捕りによる調査を始めました。ネズミ捕りを4枚用意し、それぞれに生きているオオスズメバチを2匹ずつ粘着させて、庭の4箇所に置きました。下表はその結果です。

各群はネズミ捕りを置いた場所を表す

ネズミ捕りでオオスズメバチが捕獲できたのは、12月14日が最後になっています。昨年のデータよりも1週間弱遅めですが、それでもほぼ昨年に近い結果と言えます。
オオスズメバチについては、今年は、岡山市の自宅周辺では12月の中ごろで飛来する季節が終わったと考えてよいでしょう。

11月のネズミ捕りでの捕獲数

11月に2回に渡り、ネズミ捕りで捕獲したオオスズメバチの数を記録しました。

1回目
期間:11月3日9時20分〜11月10日8時37分
場所:庭の5箇所
オオスズメバチの捕獲数:167匹

ネズミ捕り5枚の内の1枚 ここには44匹のスズメバチが捕らえられていた 11月10日8時37分撮影

2回目
期間:11月10日8時38分〜11月27日14時09分
場所:庭の5箇所
オオスズメバチの捕獲数:203匹

ネズミ捕り5枚の内の1枚 ここには80匹のスズメバチが捕らえられていた 11月27日14時10分撮影

11月上旬は、7日間で167匹捕獲しましたので、1日平均にすると
   23.9匹/日
となります。
11月中・下旬は、18日間で203匹捕獲しましたので、1日平均にすると
   11.3匹/日
となります。
オオスズメバチは11月には、早い時期ほど活発に活動していることが分かります。

退避

昨日、庭で見つけた蜂球を収容しましたが、この群が分蜂なのか、逃去なのかを調べたいと思いました。逃去なら、巣箱に働きバチが残っていないはずだと考え、今朝の時点で巣箱を出入りする働きバチがいなかった弱小の群(4群・13群・21群)の巣箱を調べましたが、どの巣箱の中にも働きバチがいました。分蜂なのかどうかは調べようがありませんでした。結局、この新たに収容した33群の出所は分からないままです。
この調べ事をする前の朝一番に、大気圧式蜜器の中に150mLの蜂蜜を入れて、33群の巣箱の底箱の中に入れておきました。この弱小の群の巣作りを助けたいとの思いからでした。
ところが、それが仇となりました。気づくと33群の巣箱にたくさんのミツバチがやって来ていました。その多さから、このミツバチたちが他の群の働きバチだとわかりました。底箱の中の蜂蜜を見つけたのでしょう。

10月28日9時30分撮影

巣箱を開けて見ると、とても多くのミツバチが蜜器に集っていました。なぜか、蜜器の大気圧の仕組みが機能せず、蜜が底箱にも多量に流れ出ていました。そこで、底箱をスペアの底箱と入替え、蜜器は庭の岩の上に置きました。

岩の上に置いた大気圧式蜜器 9時30分撮影
右奥が33群の巣箱 9時48分撮影

午後になると、33群の巣箱を出入りするミツバチは極く少なくなっていました。心配なのは、この「騒ぎ」で33群はどうなったかです。取り出した底箱や33群の巣箱の近辺には、そう多くはなかったのですがミツバチの死体がありました。
そこで、巣箱を持ち上げて下から覗くと、ミツバチはいませんでした。逃去していたのです。巣箱を片づけながら、それでももしかすると庭のどこかに留まっているかもしれないと思い、庭の斜面を見ていると、イチジク(ヌアールK)の主枝に蜂球がありました。

13時28分撮影

そこで、再度収容しようと思い準備をしていると、いつの間にか斜面の上空を多数のミツバチが飛んでいました。イチジクの主枝の蜂球はなくなっていました。

斜面の上空をミツバチが多数飛んでいる 13時35分撮影
イチジクの主枝にはもう蜂球がない 13時35分撮影

庭の平地にもミツバチが多数飛んでいました。

13時36分撮影

33群用に設置しておいた巣箱はほぼ片づけていたのですが、再度元の場所に持って行き設置しました。

巣箱を再度元の位置に設置した直後  13時38分撮影

すると、この巣箱の巣門に吸い込まれるかのように働きバチが降り立ちました。

13時39分撮影

そして、たった1分後には巣箱を覆うようになりました。

13時40分撮影

このミツバチたちは、そもそも初めから元の巣箱に戻ろうとしていたのでしょうか。
まもなく、落ち着きを取り戻し始めました。

13時49分撮影

この小さな群でも門番がしやすいように巣門を狭くしておきました。

13時58分撮影

今日、33群が取った逃去行動は、「退避」と言えそうです。33群は小群であったため、他の群が巣箱に入り込んで来るのを防ぐことができず、巣箱を放棄して野外で一時的に蜂球を作ったのでしょう。推察になりますが、私が巣箱を片づけ始める前に巣箱の様子を偵察した働きバチが、仲間に「もう大丈夫」と知らせたのでしょう。それで、蜂球を解き元の巣箱に向かったのでしょう。そして、私が再設置した巣箱に戻ったのでしょう。
だとすると、33群が行った「退避」は、昆虫とは思えないほどとても「賢い」行動です。