月別アーカイブ: 2022年2月

菜の花と蜜源

庭の直ぐ南側の空き地で自然に生長した菜の花(はなな)に、ミツバチがたくさんやって来ていました。ほとんどが庭で飼育しているセイヨウミツバチですが、ニホンミツバチも来ていました。昨年庭で飼育していたニホンミツバチ由来の働きバチかも知れません。

ニホンミツバチのようだ 2月27日14時15分撮影

自宅近くのお借りしている農園に植えた菜の花にもミツバチが来ていました。ほとんどが普通の色をしたセイヨウミツバチですが、腹部が全て黒色のミツバチもいました。

お借りしている農園に植えた菜の花
腹部が全て黒いミツバチ

このミツバチは、「4通りの体色」で見たミツバチと同じようです。

自宅の近くにミモザアカシアとアカシアプルプレアを植えていますが、もう蕾が色づいてきています。

ミモザアカシア
アカシアプルプレア

落葉樹のハリエンジュ(針槐)はまだ生長を始めてはいませんでした。

ハリエンジュ
ハリエンジュ

赤い屋根の巣箱

「セイヨウミツバチの自然養蜂」用に「赤い屋根の巣箱」を作りました。

巣門側
側面(左)と裏面(右)
底箱
巣門にはスライド式のアクリル製(白)の開閉板が組み込まれている 夏は全開、冬は少しだけ巣門を開ける
巣門内側にはアクリル板が取り付けられている スズメバチが巣門を齧って拡張しても、アクリル板で阻まれる
本体の中 巣落ちを防ぐように4本の棒がある
本体の上に巣板用のすのこを載せる
このすのこの上にⅡ型280mL大気圧蜜器や固形餌を載せることができる
分蜂群を入居させた時や冬場はすのこの上に板を載せて、蓋裏に造巣することや寒さを防ぐ
本体側面にはM6規格の鬼目ナットを取り付けている M6規格のアイボルト等をねじ込むことができる ロープを掛ければ、巣箱の転倒を防ぐことができる
同じく本体側面にはM4規格の2個の鬼目ナットが埋込まれている 間隔は8cmで穴開けパンチの間隔だ 識別や名称・履歴などの書類を防水仕様にしてユリヤねじで取り付ける

また、本体側面には、角材が4箇所取り付けられています。上の角材は主に本体を移動させる際に持つためのものです。下の角材は主に側面の板材が曲がるのを防ぐためのものです。

蓋には換気口がある 冬場はこのように閉める
猛暑になれば換気口を開ける
スライド板を固定するための鬼目ナット ユリヤねじをねじ込む
蓋の裏 ユリヤねじを使わない時は、こんな風に蓋の裏から鬼目ナットにねじ込んで紛失を防ぐことができる
スライド板をユリヤねじで固定していない状態 蓋の裏からねじ込んだユリヤねじの末端が鬼目ナットから見える
本体の上には採蜜箱を載せることができる
巣枠は上方のみ M4規格の鬼目ナットと皿ねじで2本の巣枠を締めて巣礎を固定する
屋根の裏の様子 ずれ止めを施している

ところで、この「赤い屋根の巣箱」には、本体と採蜜箱の裏面に観察用の窓があります。観察をする時に白色のアクリル板を外します。

本体裏面の観察窓
採蜜箱裏面の観察窓
観察窓を開けたところ

この観察窓はペアガラス(ただしアクリル板)になっています。熱の出入りを防ぐ効果があると考えています。

観察窓のペアガラス

さて、この巣箱は、底箱・本体・採蜜箱・蓋・屋根から構成されていますが、その内本体と採蜜箱と蓋の被せには、「相欠きつぎ」相当の工法を用いています。

本体と蓋の合わせ部分 1枚の板をトリマーで削っている

真っすぐ上から被せるとしっかりとはまります。この工法により、外側から当て板を使って固定したり、ビスで固定しなくても良くなり、また持ち上げるだけで分離できるようになります。
底箱と本体の合わせ部分は、敢えて加工はしていません。底箱の上に本体を重ねる際は、まず少しずらして重ね、本体を滑るように動かして底箱に重ねます。こうすることで、蜂を挟み込むことが少なくなります。

スズメバチ捕獲器もこの「赤い屋根の巣箱」用に作りました。捕捉空間を2段にしています。

捕捉空間の前面はアクリル板を使っています。捕捉空間の前面が金網の場合、捕捉空間にいるスズメバチに向かってミツバチが戦いに行くことがあり、ミツバチが多数殺されることがあります。そこで、アクリル板で上下を遮断しました。
このアクリル板には、高さ6mm幅10cmの切り欠きがあり、オオスズメバチは通れませんがミツバチは雄バチも含めて通れます。アクリル板は、上方へ引くと取り外せます。スズメバチを取り出すのが容易です。

アクリル板を半分持ち上げたところ アクリル板の両側と下の板には溝が掘られている

「赤い屋根の巣箱」は、様々な機能を備えていますが、実際にそれらの有効性が検証できるよう、また、巣箱自体の耐久性と言う点でも検証できるよう、ミツバチが新居を必要とする季節が来るのを待ち遠しく思います。

蜜器台を使う

2月24日にⅢ型500mL大気圧蜜器を試用しましたが、今日は、昨日作成した設置台の上にその蜜器を置いて給餌しました。

設置台の上面はアクリル板です。これは繰り返し水で洗えるようにするためです。下の写真を見るとわかるのですが、アクリル板に汚れが付いています。この汚れは、蜜そのものです。蜜を吸引する際に肢や翅に蜜が付き、その蜜がアクリル板に付くのです。

このため、繰り返し洗えるようアクリル板を使いました。このアクリル板は、上面に固定しているのではなく、ただ被せているだけですから、簡単に取り外せます。
アクリル板は、寒い季節は黒色を、暑くなると白色を使います。特に黒色のアクリル板を使うのは、保温のためです。寒い季節では、蜜が翅について飛べなくなって蜜場に留まっていると、その内に体温が下がり、全く飛べなくなります。そして冷死してしまいます。黒色のアクリル板を使うのは、そのリスクを軽減するためです。

ところで、話は変わるのですが、こんな風景を見ました。

この場所は、昨日まで蜜器で給餌をしていた場所です。ただし、蜜器の下に敷いていた板は外して、この巣箱の本来の天板に変えています。ですから、この天板には蜜の汚れはないのですが、それでもミツバチが集まってきていました。今日の給餌場所はその近くです。

奥の巣箱の上が、昨日まで給餌していた場所

このことから、ミツバチは蜜を見つけて仲間を呼んだわけではなく、昨日までの蜜の場所を覚えていたことになります。自然界の花の場所も一晩置いても覚えているのでしょう。

蜜器台の設計図 Ⅲ型500mL大気圧蜜器が3個まで置ける

屋外用に大気圧蜜器

先日作成したⅡ型280mL大気圧蜜器は、現在開発中の新たな巣箱の中用でした。今回は、屋外用に大気圧蜜器を製作しました。
Ⅱ型蜜器と内法の寸法は同じですが、高さの制限がなくなるため、2.8cmから変更して5cmとしました。これにより容量は500mLとなりました。また、蜜飲み場の幅を5mmから6mmに広げました。これは、屋外ですと複数の群が蜜器に集まってくるため少しでも密集を和らげるためです。また、上面を底面と同じ大きさに広げ、降雨の際、蜜飲み場に雨が入らないようにしました。その他、上面の穴は径を3mmとし、シリコン栓を外した際も、ミツバチが容器の中に入りないようにしました。更に大きな変更点としては、蜜飲み口(切り欠き)を8箇所から18箇所に増やしました。

蜜飲み場の底までかなり多くのミツバチが入っている

この蜜器を「Ⅲ型500mL大気圧蜜器」と名付けます。

2群の死滅

2020年の3月27日に購入した2群は、同年分蜂した4群と5群の本巣と考えられ、昨年(2021年)の分蜂は、全てがこの3つの群からです。つまり、過去・現在の全ての分蜂群は、2群が元になっています。
その2群が死滅しているのに気づきました。巣門に詰まるように死体がありました。巣門の下を見ると、多数の働きバチの死体がありました。

2月18日撮影
巣門の下 多数の働きバチの死体があった

つい4日前の2月14日、今年初めての内検をし、ロイヤル・ビーを与えたところでしたが、その時は、異状に気づきませんでした。
巣箱の中を見ると、働きバチの死体が多数あり、女王バチも死んでいました。

巣箱の中 生きているように見えるが死んでいる
女王バチも死んでいた

巣脾の様子を見ると、蜂蜜が全くありませんでした。2月16日から最低気温が氷点下の日が続いていました。蜜がなくなり低温に耐えられなかったようです。

4通りの体色

昨年の10月14日のブログ」では、17群に二様の働きバチがいることに触れていますが、今日、屋外での給餌の際に、新たに体色の違いに気づきました。

ここには、大まかに言って三様の働きバチが写っています。最も一般的な腹部が縞模様のハチ、腹部第6節(腹端)から第4節が黒色のハチ、腹部の全6節共に黒色のハチの3種があります。
これを10月14日の17群で見られたハチと比べると、「最も一般的な腹部が縞模様のハチ」は両者共に共通ですが、「腹部の全6節共に黒色のハチ」は下の写真の黒色の縞模様のハチとも違って見えます。

17群の二様のハチ

季節による体色の変化がないとすれば、自宅で飼育しているハチには体色が4通りあることになります。どうしてこのようなことになったのでしょうか?!

新たな大気圧蜜器

昨年の12月23日に紹介した大気圧蜜器は、寒くない季節での使用には問題はなかったのですが、冬場に屋外で蜂蜜を与えると、蜜を飲む箇所の4mm幅の隙間で死んでしまうことがありました。冬場の蜂蜜は粘度が高く、また夕刻気温が下がるため、隙間から出られなくなるようです。

大気圧蜜器で蜂蜜を飲むミツバチ 蜜がたまる箇所の底まで入り込んで蜜を飲んでいる
こんな風に4mm幅に入ったまま出られなくなって死んだようだ

そこで、新たな大気圧蜜器を作ることにしました。現在「セイヨウミツバチの自然養蜂」用に新たな巣箱を製作しているところですが、その巣箱の中で使えるように設計し直しました。最も主要な設計の要件は、蜜器の高さを45mm以内にすることです。そのため、形を横に広げて容積を確保したのですが、それに伴い、ミツバチが蜜を飲む部分が4倍の広さになりました。また、蜜がたまる部分の幅を4mmから3mmに縮め、働きバチが溝に入れないようにしました。

新たに作った大気圧蜜器 蜜がたまる部分の幅は3mmだ
口吻をいっぱいに伸ばしている 頭部は3mmの幅に入るようだ

ところが、新たな問題がありました。蜜がたまる部分の外枠の高さが10mmで、蜜が出てくる切り欠きの高さが5mmですので、蜜が一杯に貯まれば飲み易いのですが、蜜がなくなりかければ、底が10mm先にあるので、口吻をいっぱいに伸ばしても飲めないことを見落としていました。また、蜜器の高さが低いため、切り欠きから流れ出る流動圧力が低く、粘度が高い蜂蜜の場合、流れ出るのに時間がかかり過ぎることも分かりました。
そこで、蜜が貯まる幅を逆に広くして5mmとし、上部にもシリコン栓で開け閉めができる穴を追加しました。

改良した大気圧蜜器 上部のシリコン栓を開け閉めして蜜が流れ出る単位時間当たりの量を加減した
かなり楽に蜜を吸引している 胸部も幅に入っている

この蜜器は、底面積が5cm×20cmで100㎠あります。そこで、高さ0.1cm当たりの容積は10㎤になり、蜜器の高さは2.8cmありますから、満容量は280mLとなります。
この蜜器を「Ⅱ型280mL大気圧蜜器」と名付けることにしました。

33群のその後

1月28日に救出した33群ですが、1月31日にロイヤル・ビー(花粉パテ)を与えたものの、関心を示しませんでした。その上、ロイヤル・ビーが溶解し始め、小型容器の中を汚すようになりましたので、取り出しました。

ロイヤル・ビーを入れた 1月31日撮影

2月8日には、蜜を全て食い尽くしていましたので、僅かに蜂蜜を与えました。

与えた蜂蜜を飲んでいるところ 2月8日撮影

10日ほどで、少ない個体数にも関わらず、それなりにあった蜂蜜を消費したことになります。数値化することはできませんが、生存にはかなりの蜂蜜が必要なようです。
水蒸気の結露が激しいので、容器の出入り口に金網のネットを被せておきました。

金網で通気孔を作った

2月10になり、多くの働きバチが死に始めました。体色がくすみがかっていました。生き残っていたのは、女王バチと働きバチが12匹程でした。
この時点で、止むなく、飼育を断念しました。

ほとんどの働きバチが死んでしまった 2月10日撮影