月別アーカイブ: 2022年9月

盗蜂による5群の崩壊

5群は急速に勢いがなくなってきていました。少し前の内検で女王バチがいないことが分かっていて、変成王台が1個見つかっていました。
9月28日、その5群の巣門周辺を比較的多くのミツバチが飛び交っていました。盗蜂を疑い確認するために巣箱を開けてみると、やはり盗蜂に遭っていました。

9月28日15時48分撮影
戦いが見られた 15時49分撮影
15時53分撮影
変成王台 16時22分撮影

続 改良スズメバチ捕獲器の捕獲状況

8月13日に「赤い屋根の巣箱」に設置した改良スズメバチ捕獲器のその後です。
捕獲器から捕獲したスズメバチを最後に取り出したのがいつだったのかの記録がありませんので、捕獲期間が不明ですが、以下は9月22日の捕獲器内の様子です。

赤い屋根の巣箱Aの捕獲器
赤い屋根の巣箱Bの捕獲器
赤い屋根の巣箱Cの捕獲器

捕獲スペースの2段目(上段)により多くのスズメバチが入っていることが分かります。捕獲スペースの2段構造が機能しているようです。
また、8月13日の改良捕獲器設置後、捕獲器内に入ったスズメバチをミツバチが追撃(追撃することで多くのミツバチが殺されることがしばしばあった)する場面はありませんでした。捕獲スペースの仕様が生かされたようです。

赤い屋根の巣箱の貯蜜

あれほど繁栄していた赤い屋根の巣箱A( 44群)ですが、急速に勢いが衰えてきていました。そこで、採蜜箱を3段にしていましたが、全て取り払うことにしました。
採蜜箱の1段目と2段目を切り離した際、2段目から下に延びていた蜜巣の一部が切り取られました。それが1段目の採蜜箱の上に付着していました。

1段目の採蜜箱の上面 2段目から下へ伸びた蜜巣の一部が付着している

この蜜巣を取り払い、この部分は食用にしました。後日、1段目の採蜜箱の重さを量ってみると、4.3kgありました。

採蜜箱の1段目の裏面 4.3kgあった

2段目は2.5kg、最上段の3段目は1.6kgありました。

採蜜箱の2段目の裏面 凹んだ部分が1段目の上面に付いた蜜巣に当たる 2.5kgあった
採蜜箱の3段目の裏面 巣礎から巣房がある程度盛られているが、貯蜜はない 1.6kgあった

そこで、貯蜜の量ですが、巣板の盛られた状態に違いはありますが、1段目の場合は4.3kgから1.6kgを引くと2.7kg、2段目の場合は0.9kgになります。したがって貯密量のおおよその重さは、3.6kgとなります。既に食用にした部分の蜜を考慮すると、貯蜜の量は、通常の蜜巣枠の2枚程度でしょうか。
1つの採蜜箱の中の巣板の面積は、通常の巣礎枠の2枚分ですから、1段目の貯密量の2.7kgは、通常の巣礎枠の2枚分と貯蜜の量がほぼ一致しています。
採蜜するには、遠心分離器が利用できるように、1枚1枚の巣板が収納できるケースを作ると便利ですから、そのような収納ケースを作ってから採蜜しようと思います。

巣門の位置認識

9月13日、54群に赤い屋根の巣箱用に製作した試作品のスズメバチ捕獲器を取り付けました。すると、直ぐ隣りの今は使われていない重箱式巣箱の巣門(54群と巣門の環境が類似している)を、戻ってきたミツバチが出入りしだしました。54群の巣箱にも近づくのですが、巣箱には入って行かないようです。

重箱式巣箱(右側)の巣門を出入りする戻ってきたミツバチ 9月13日8時33分撮影
重箱式巣箱の様子 8時35分撮影

そこで、スズメバチ捕獲器を取り外しました。すると54群の巣箱に戻って行きました。

8時37分撮影

このミツバチの行動から、ミツバチが巣箱、限定的に言えば巣門の位置をどのようにして覚えているかが分かります。三次元の空間的な位置のみでなく、巣門の環境を画像として覚えていて、(眼で見た)巣門の環境の方を優先していることになります。

ヘギイタダニの駆除を始める

8月26日にヘギイタダニを調べる器具を50群の底箱に設置しておきました。その器具をほぼ1週間後の9月3日に取り出しました。

金網の下にネズミ捕りシートを入れている 9月3日撮影

小さな点が多数見えますが、近くで見るとそれらはヘギイタダニでした。

ヘギイタダニがとても多く見える

ダニ駆除剤は入れていないにも関わらず、これだけたくさんのヘギイタダニが1週間程度で落下したのですから、巣箱の中には今もとても多くのダニがいることがわかります。
この日、アピスタンを飼育中の全ての巣箱に投与することにしました。一般的な巣枠で飼育している群が5群、重箱式が1群、縦長式が1群、そして赤い屋根の巣箱が3群、の計10群が対象です。

赤い屋根の巣箱Aは継箱を3段外して投与(継箱は再び重ねた) 9月3日撮影
赤い屋根の巣箱Cには継箱がないので蓋を取って投与

上の写真のように、赤い屋根の巣箱にも懸垂型の駆除剤が使えました。

ヘギイタダニによる崩壊を確認

8月26日のブログ「相次ぐ真夏の崩壊」で8月に4つの群が崩壊したことを書きましたが、9月2日には、12群が崩壊しているのが分かりました。
実はその崩壊が分かる前に、次のような光景を目にしていました。

9月2日11時46分撮影

12群の東隣りには10群の巣箱を置いているのですが、その巣箱の天板の上にネズミ捕りシートを置いていました。そのネズミ捕りシートに1匹の働きバチと女王バチが捕らえられていたのです。まだ2匹とも元気でした。なぜこんなところに女王バチがいるのでしょう。この女王バチはどこから来たのでしょうか。
そこで、西隣りの12群の巣箱を開けたのですが、その時、この12群が崩壊しているのが分かったのです。確言はできないものの、この女王バチは12群の女王バチだったのでしょう。
12群の巣脾を見ると蜜がたくさんありました。ただ、蓋がかかっている巣房の中には穴が空いている巣房がありました。

蜜がいっぱい貯まっている
穴が空いた蛹の巣房がある

巣箱の底はきれいで、ヘギイタダニなどの死体は見つかりません。

巣箱の底の様子 ヘギイタダニの死体はない

8月26日のブログでは、「8月に4群が崩壊してしまったのですが、何れも貯蜜がありましたので、蜜切れで餓死したわけではありません。個々の崩壊がそれぞれなぜ起こったのかは、分からないままになりました」と書きましたが、今回は群の崩壊の原因をヘギイタダニの可能性から調べることにしました。
蓋のある巣房を崩してみると、ヘギイタダニが見つかりました。

ヘギイタダニ 蛹に付いていた

巣箱に小型のアリがやって来ていたのですが、巣房を崩すとその中に居たヘギイタダニを狩っていました。ヘギイタダニの死体が巣箱の底になかったのは、こうしてアリが巣へ運んで行ったからなのかも知れません。

ヘギイタダニを狩る小型のアリ

驚いたことは、まだ幼虫の段階の1つの巣房の中に複数のヘギイタダニがいたことです。しかも、それが多くの巣房で見られました。

幼虫の段階の巣房の中にヘギイタダニが5匹いた 幼虫はまだ生きていた

ダニの駆除剤の説明では、1つの巣房に1匹のヘギイタダニが入るように読み取れますが、この崩壊した12群はそうではないのですから、恐らく蓋のある巣房の数よりもダニの個体数の方が多くなっていたのでしょう。12群はダニで末期状態になっていたようです。
蓋のある巣房を20個調べてみました。その結果は、ヘギイタダニが居なかったのは11個で、居たのは9個でした。45%の有蓋巣房にヘギイタダニが居たことになります。
8月に崩壊した4つの群も、恐らく多数のヘギイタダニに寄生されたのが崩壊の原因だったのでしょう。
崩壊後、ミツバチの死体が巣箱の中に残っていないのは、群ごと巣を捨てて出て行ったからなのでしょう。冒頭で書いたように、ミツバチの女王バチがネズミ捕りシートで見つかったのも、8月9日の夕刻、51群周辺をいつもになく多めのミツバチが飛び交っているのを目撃したのも、群ごと巣を捨てて出て行ったからなのでしょう。

赤い屋根の粘着捕獲器を製作

スズメバチ対策に粘着ネズミ捕りシートを使っていて、2点改善したいことがありました。1つは、ネズミ捕りシートに耐水性はあるものの、それでも濡らしたくないことと、2つ目は、捕らえられたスズメバチがもがく間にシートからはみ出して、シートを置いている台などに粘着剤が付くのを防ぐこと(捕らえられたスズメバチが、もがく間にシートからはみ出すことがあるため)です。
そこで、ネズミ捕りシートを収納する次のような容器を作りました。材質はアクリルです。

茶色の部分が粘着ネズミ捕りシート

8月28日、赤い屋根の巣箱の横に設置しました。

8月28日17時4分撮影
お捕り用にスズメバチを2匹シートに着けた

次の日の朝方、スズメバチを捕らえることができていませんでしたので、網でスズメバチを捕らえるなどして、徐々にお捕りを増やして、夕刻までにお捕りを8匹にしました。

この8匹はお捕り用 8月29日16時53分撮影

更に次の日(8月30日)の夕刻になって、やっと1匹ですが、スズメバチを捕獲することができました。

9匹になっている 奥中央のオオスズメバチがこの粘着シートで捕まった 8月30日17時20分撮影

9月2日、降雨後、この捕獲器を見に行くと、粘着シートの上に水滴があったものの、粘着シートの厚紙の部分に水が染み込んではいませんでした。

降雨後だが、シートは濡れてはいない ちなみに10匹になっている 9月2日10時44分撮影

粘着剤が容器の外に着かない構造にしていますから、その点を含めてこの粘着捕獲器は、十分に機能することが分かりました。
この捕獲器を「赤い屋根の粘着捕獲器」と呼ぶことにします。